『仕事の9割は数学思考でうまくいく』【要約】

ビジネス

コンセプト

数学思考はビジネスパーソンの強力な味方。

本の目次

第1章 頭のいい人は「数学」をうまく使っている
数学思考で道は開ける

№1 「数学嫌い」は仕事で損をする

№2 「なぜ?」と思った数だけ仕事はうまくいく

№3 話下手も数学で「完治」する

№4 周りより「一手先」が読める

№5 「アイディア」のスイッチをONにする

№6 「数学思考を今から身につける2つのコツ

第2章 決断力・選択力がアップする数学思考
仕事も数学も決断がすべて

№1 「見切り発車」が発想の幅を狭くする

№2 「鳥の目」で眺めてみる

№3 決断の根拠は「指標化」する

№4 データの「ワナ」にダマされない

№5 数学的推論で「可能性」を広げる

№6 やり直しは「0」からでなくてもいい

第3章 ビジネス表現力を強化する数学思考
言葉に頼らず、グラフを使え

№1 説得したいときこそ「数字」を使う

№2 グラフは「小学生の延長レベル」が効果大

№3 メモは「チャート図」で書き留める

№4 情報の「図式化」で提案の質が上がる

№5 「物事の本質」はなにかを見極める

№6 「割合」の見せ方が賞賛を決める

№7 「言葉の意味」がお互いに理解できているか

第4章 発想力・アイディア脳を磨く数学思考
推理・条件整理の先にアイディアが生まれる

№1 「求められているものは何か」を理解してから考える

№2 アイディアは「直感」ではなく「予測」から生まれる

№3 「分析」の精度が「結果」の精度

№4 「仮説」は結果への近道

№5 「加法」「乗法」から新たなチャンスが生まれる

№6 「立体」で考えると頭がやわらかくなる

第5章 自分力を高め地頭を強くする数学思考
できる人は数学脳で考える

№1 物事は「ざっくり」と考える

№2 できる人は「ショートカット」を選択する

№3 「複眼力」を使って同時並行で処理する
 
№4 「逆算」から創造する

№5 答えは「一つ」解き方は「無限」

文章題と伝え方の関係

文章題を解くのがうまい生徒は、話し方も上手です。文章題を解くためには、情報を整理し式を作り、あるいは図形を描き、答えを導き出します。

これは話をするときに必要なスキルになります。

意図を的確に伝えるためには、話す内容を整理・加工・視覚化(順序・強弱・取捨選択・まとめ)する必要があります。

これはビジネスを円滑に進めるための報告・連絡・相談というコミュニケーション能力向上に役立ちます。

プレゼンに於いても、、数学思考を用いることにより、競合他社に一歩先んじることが可能です。

間違えたところからやり直す

うまくいかなかった場合、失敗をなかったことにして最初からやり直すのではなく、

復元ポイントまで戻り、なぜ間違えたのかを検証することで成長につながります。

算数・数学の指導を通して、間違えた時の生徒のやり直し方は、大きく分けて2通りあります。

1.失敗を検証することなく最初からやり直す。

間違いを把握・分析しない。自分の実力・習性・クセを知ることができない。

情報のストックができず、経験の積み重ねも不可能になり、同じ間違いを繰り返し、成長できない。

2.内容・手順を見直し、ミスした部分を捉えそこから改めて考える。

どこで、なぜ、間違えたのかを振り返る。自分の弱点を見つけ、克服することができる。

同じ間違いを防ぐことが可能になり成長できる。

焦って最初から白紙の状態からやり直すのではなく、失敗した原因、タイミングに、しっかり目を向け取り組むことが仕事においても大事です。

復元ポイントからやり直す問題

【問題】

A、B、C、D、E、F、G、Hの8チームが、下のトーナメント表の通りに試合を行いました。

次の条件から④で対戦したチームはどこか答えなさい。

条件

・AはDに勝ったがHに負けた
・EはBに勝ったがHに負けた
・GはFに勝ったがAに負けた

トーナメント表

【解答】

まずは全体像を把握します。

このトーナメントで必要なことは、3勝で優勝、2勝すれば決勝戦⑦に進出できること。

これを念頭に3つの条件と照らし合わせると、

AはDとGに勝っているので決勝進出。

HはAに勝っているので優勝。
ここまでが復元ポイント1

次にこのトナーメントを①と②、③と④のグループに大別するとシンプルになりわかりやすく
なります。

上記よりAとHが同じグループになることはありません。

さらに、Aに1回戦あるいは2回戦で敗退しているDとGはAと同じグループに属します。

しかもGと対戦したFも必然的にAと同じグループになります。

つまり、ADFGが①と②のグループになります。

ここが復元ポイント②になります。

問題文と上記より、残りのBCEHが③と④のグループになります。

3試合戦っているのはAとHのみなので、条件よりEとHの試合は2試合目。

つまり、⑥に該当します。

そして、Eの1試合目の相手はBなので、自動的に③になります。
したがって④でCと対戦したのはHとなります。

正解はHです。

物事の本質を見極める

事象を正確に把握して、仕事をしているかどうかは、成果に直結します。

本質を見定めるには、思考のクセを修正し、正しい思考回路を作る必要があります。

「速さの平均」と「平均の速さ」は違う

【問題】

片道12キロのA町とB町の間を歩いて往復する。

行きは時速6キロ、帰りは時速4キロで歩いたとき、平均の速さを求めなさい。

【解答】

「4と6の平均だから5キロ」と答えた方、不正解です。

5キロは「速さの平均」であって「平均の速さ」ではないからです。

正解は

歩いた距離は合計24キロ。行は2時間、帰りは3時間かかっているので

24÷(2+3)=4.8キロ

なぜなのか本質を問う問題

【問題】

分数同士の割り算の仕方を説明してみましょう。

5/6÷2/3を計算するときに5/6×3/2とすればよいのか理由を説明してみましょう。

<ヒント>

10÷5と100÷50と1000÷500はすべて2となることに注目してください。

【解答】

ヒントから10÷5と(10×A)÷(5×A)は同じです。

Aが10でも100でも答えは2です。

分数計算でも5/6÷2/3と、(5/6×A)÷(2/3×A)の計算結果は同じになります。

ここで、10÷1=1、100÷1=100です。

割り算は割る数を1にすれば簡単です。

2/3×Aを1にするには2/3×3/2です。

A=2/3です。

したがってこの計算は

5/6÷2/3=(5/6×A)÷(2/3×A)

=(5/6×3/2)÷(2/3×3/2)

=(5/6×3/2)÷1

=5/6×3/2

正解 5/6÷2/3=5/6×3/2が成り立つ

1999年、東京大学入試問題。

「サイン(sin)、コサイン(cos)の定義を書け」

三角比に関する公式やテクニックだけでは解答できない問題です。

なぜなのかという本質が、これからは大事だという東大からの強烈なメッセージと受け取られます。

発想力のPDCAサイクルとは

PDCAサイクルとは、業務改善のための技法です。

①PLAN(計画)

実績、予測に基づき、計画を作成する。

②DO(実行)

計画に沿って業務を遂行。

③CHECK(評価)

内容、結果の達成度を点検する。

④ACT(改善)

未達成の問題点、原因を探り修正・改善を図る。

①PLAN、②DO、③CHECK、④DOをできるだけ速く回し、継続的に業務の質・効率改善を目指します。

これを発想力を磨くためのサイクルと考えた場合、

予測力→PLANの精度向上

分析力→PLAN、DOの精度向上

仮説力→CHECK能力の向上、復元ポイント設定により時間効率向上につながります。

仮説は予測、分析を基に立てて行きます。

目標地点のチェックをすることで具体的に方向性のズレ、ブレを早めに検知して、修正をかけることができます。

仮説を立てることは復元ポイントを設置することになります。

有効な仮説を立てるためには、予測力、分析力の実力をつけることが重要です。

仮説を立てなければ解けない問題

【問題】

A、B、C、D、Eの5チームでサッカーのリーグ戦を行います。

どのチームも他のチームと必ず1回ずつ対戦します。

どのチームも1日1試合だけ行います。

大会は5日簡で終了します。

Aは1日目から4日目まで対戦があり、B、C、D、Eの順に対戦します。

1日目にはEの対戦がありません。

2日目にはDの対戦がありません。

3日目に対戦がないチームと5日目にBと対戦するチームをそれぞれ答えなさい。

【解答】

問題文からの情報(条件)を図式化すると表1のようになります。

表1から3日目に試合がないのは「BまたはC」です。

ここで、3日目にCの試合がないと仮説を立てます。

すると、「B対E」が2日続いてしまい条件に反してしまいます。

したがって3日目に試合がないのはBと判明します。

4日目の休みはCとなります。

そして4日目、Bの対戦相手はDとなります。

よって5日目にBと対戦するのはCであることがわかります。。

正解

3日目に試合がないのはB
5日目にBと対戦するのはC

仮説を立てて検証した結果、条件に合わなければ、誤りがあることがわかります。

仕事が頓挫したときには、最初に戻るのではなく、仮説を立てた復元ポイントに戻ることで、着実に無駄なくゴールにたどり着くことができます。

ざっくり考える

哲学者、数学者のデカルトの言葉。

「困難なことはすべて扱うことができ、解決が必要な部分へと分割せよ」

物事は分割し、シンプルにした方がわかりやすくなります。

だからと言って、物事を細分化し過ぎるとキリがありません。

ざっくりシンプルに分割するコツ

ひとつひとつの作業ごとに分けるのか。

個別ケースの共通点を見つけて、似た作業グループに分けるのか。

分け方により、進捗具合に相当差が出てきます。

分割する量が多ければ多いほど処理量が増加します。

簡略化するために分割したのに処理量が増えてしまっては、意味がありません。

分割するコツは、大局観を意識して、ざっくり分けることです。

大局観とは物事の総体的な現状や 進展状況を踏まえて的確な形成判断を行う能力のことです。

数学の「場合分け」の思考法が役に立ちます。

根拠をもってザックリ分ける問題

【問題】

①a、bを自然数としたとき、次のことを示しなさい。

a²を3で割ると余りは0または1である。

②2以上の自然数nに対し、nとn²+2がともに素数になるのはn=3の場合に限ることを示しなさい。

条件は「素数」でること。「自然数」であること。「n²」であること。

素数とは。

5、7、11、13、17のように、2つの数の掛け算をしたときに「1×その数字」でしか表せない数のこと。

1でない自然数。無数に存在していると考えられる。

自然数とは。

正の整数のこと。

n²とは。

n×nのこと。

【解答】

上記の定義を整理して「自然数を3で割った余りは2、1、0しかない」ことを考慮すると、

膨大な素数を3つのグループに分けることができます。

自然数全体を3で割った余りに大別して検証します。

A)aを3で割った余りが0(aは3、6、9など)→a²を3で割った余りは0

B)aを3で割ると余りが1(aは4、7など)→a²を3で割った余りは1

C)aを3で割ると余りが2(aは5、8など)→a²を3で割ると余りは1

①の正解

よって、a²を3で割った余りは必ず0か1になる。

D)nを3で割った余りが0(nは素数だから該当は3のみ)

→n=3のとき、n²+2=11、条件を満たす。

E)nを3で割った余りが1(nは素数7、13など)

→n²+2は3の倍数になるので不可。

F)nを3で割った余りが2(nは素数5、11など)

→n²+2は3の倍数になるので不可。

②の正解

よって、nとn²+2がともに素数になるのは、

n=3の場合のみに限定される

様々なことが起こる仕事も、無策に一つひとつこなしていくのではなく、共通項を見出し根拠のあるグループ分けを行うことで、スマートに効率よく進めることができます。

まとめ

「なぜ」を問い本質に迫る真の数学思考を、仕事に取り入れることの重要性を学べます。

分析力、予測力、発想力、指標化、推論、仮説、グラフ化、図式化、立体化、逆算といった様々な思考法を数学の問題を解きながら、理解できるように試みられています。

数学の公式、解法テクニックを覚えて問題に適用、当てはめて解く能力は、高度経済成長期には必要な能力だったかもしれませんが、今は「なぜ」を繰り返し、自分で考えて本質を見抜く、数学本来の思考法が、仕事にも求められる時代だと思います。

読書に勉強、アウトプット、運動と色々がんばっているけれど、いまいち自己成長できないのは、数学思考が不足しているかもです。

出版情報

著者   秋田 洋和

発行日  2013年5月29日

発行所  株式会社あさ出版

定価   1400+税

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