大手証券会社で23年間勤務し、200回以上の株主総会に
参加した経験を持つ、複眼経済塾の塾長、渡部清二氏が語る、
株主総会に参加して、企業の投資価値を見極める方法。
投資家が株主総会に参加する意味
株主総会は、株式会社における最高意思決定機関であり、
全役員が一堂に会する唯一の場です。
株主総会は、単に業績やデータの定量的なアピールをする
決算説明会ではなく、定性的な法人格とかなりを見極める
ための経営の場とも言えます。
株主総会のチェックリスト
渡部氏は、株主総会への参加者が把握すべき
チェックリストを提案しています。
①第一印象は
②社長は自分の言葉で話していたか
③社長の説明内容はわかりやすかったか
④事業に対する社長の熱意は感じられたか
⑤参加社員の雰囲気はどうか
⑥居心地のよい空間だったか
⑦演出に工夫はあったか
②③④社長に関すること。
社長の人となりを知ることは投資する上で
非常に重要です。
社長が事業を頭の中で整理できているか、
把握しているか。
どれぐらい自分の事業に熱意をもっているか、
自分の言葉でしゃべっているか。
社外取締役や役員の存在も重要です。
一発でわかる株主総会の悪い雰囲気
会場を見渡して最前列にスーツを
着た人が、ずらーと並んでいると、
社員株主の可能性が大。
都合の悪い質問をシャットアウトしたり、
忖度して、悪い情報が伝わらないように
していると思われます。
株主総会での質問術
●入場はできるだけ早めに 社長の顔を見るために
●質問してほしくないを理解する
●自分は味方であると伝える
●質問は事前に考える
●TPOをわきまえた質問をする
業績は経営の結果。
株価は市場の判断。
市場判断による株価のことを株主総会で
問うてはいけない。
渡部氏が選ぶ「投資したくなる株主総会」
株主総会に出席して伸びると感じた会社
【SHIFT(3697)】
<事業内容>
ソフトウエアのテスト・品質保証サービスを
顧客企業に提供。
ソフトウエアのテスト業務を効率化・標準化。
佐々木道夫氏の発言内容。
2000~2010年キーエンス社長
2018年11月シフト社外取締役
2020年11月シフト取締役副社長
2000~2010年キーエンス社長
2018年11月シフト社外取締役
2020年11月シフト取締役副社長
キーエンスが急拡大する時期に社長を務める
「当時キーエンスは伸びると思っていた。
同じ感覚をシフトに感じる」
[株価]
2018年から5倍以上上昇。
【Recovery International(9214)】
<事業内容>
在宅医療を支える看護師等による保険適用の
訪問看護サービス事業。
上場企業で唯一訪問看護単独で事業を行う。
上場して間もない株主総会は社長の熱意がわかる
格好の機会。
訪問看護市場は2020年に6682億円。
2040年には在宅医療・介護市場全体は36兆円以上に
なる見通し。
現状、リーディングカンパニーは存在していない。
社長 大河原 峻氏の発言内容。
リーディングカンパニーになり、
マーケットを作っていくという強い意思を表明。
そのために、売上を上げてちゃんと利益を
出していくことの重要性を強調。
クリアな市場規模分析と会社のポテンシャルについて説明。
[株価]
IPOの期待感が剝がれこれから期待できる。
訪問看護市場がまだ認識されていない。
伸びしろがまだまだある。
まとめ
株主総会はROEとかPERでは、
見えてこない、法人格やなりを
見極める場であり、投資判断において
非常に有益な情報を提供してくれます。
数字だけでは見えない企業のポテンシャルや
将来性を把握するための貴重な機会となります。
「定量的な情報ではなく
定性的な法人格を見る」
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